仕事の探し方

ステージ袖の楽器のプロ。「ローディー」の魅力と大変さ

フェスの舞台袖で楽器を整えるローディー。実際の音づくりの例から、魅力、長い一日や移動の大変さ、会社で働く入口まで、一つの仕事を掘り下げます。

ギター、フライトケース、ケーブルを置いた架空の舞台袖。「楽器のプロ。」「ローディーの仕事」の文字
架空のイメージです。実在の物件・人物・施設・アプリケーションとは関係ありません。

演奏が終わり、次の出演者が登場するまで。フェスのステージでは、楽器や機材が運ばれ、次の演奏の準備が進みます。その仕事の一つが「ローディー」。楽器のテクニシャンとも呼ばれる、演奏者が使う楽器や機材を整える仕事です。

2026年10月23日には、福島のLIVE AZUMAで専門学校の学生がスタッフ研修に参加したという開催後の報告が出ました。同校の学科紹介には、前年の2025年にステージ転換やローディを担当した実績も載っています。今年の学生が同じ仕事を担当したかまでは分からないので、ここからはローディーという職業そのものを見ていきます。

楽器を置く、その先にある音づくり

楽器の手配、車への積み込み、会場への搬入、セッティング、メンテナンス。本番の前から、ローディーの仕事は始まっています。楽器を運び終えれば完了、という仕事ではありません。

楽器レンタルなどを手がけるサウンドクルーの職務紹介では、準備から本番、撤収までを担い、演奏者がどんな音を求めているのかを理解して提案する役割まで説明しています。仕事場も、ライブのステージに加えて、リハーサルやレコーディングなどに広がります。

同じ機材を用意しても、会場や演奏者が変われば、必要な調整は変わります。自分の好きな音を押しつけるより、演奏者が出したい音を一緒に探していく。楽器への詳しさを、誰かが演奏しやすい状態へ変えるところに、この仕事の面白さがあります。

会場の音響を担うPAや、照明、舞台監督とは、中心に置く担当が違います。ローディーは楽器と演奏者の側から支え、ほかの担当者と連携します。一人でステージのすべてを担当する職種、と考えると、仕事の輪郭を見失ってしまいます。

曲によってギターが変わる、その理由も知っている

本番中にギターが入れ替わるのは、見た目を変えるためだけではありません。曲によって弦の音の合わせ方が違えば、次の曲で使う楽器を、演奏できる状態で用意する必要があります。

具体例として面白いのが、SHINOSが運営するCROSS BRIDGEのPATAさんとギターテクニシャンの斉藤透さんを紹介した2022年の記事です。そこでは、X JAPANでは曲ごとにチューニングが違うことが多く、ギターを4〜5本使うことや、エフェクターの切り替えを斉藤さんが担当することが紹介されています。

エフェクターは、楽器の音に変化をつける機材です。演奏者が何を弾き、どこで音を変えるのかを理解して支える。その姿を見ると、ローディーが覚えるのは機材の名前だけではないと分かります。

これは2022年に公開された一組の例で、すべての現場が同じ分担という意味ではありません。それでも、楽器を渡す動作の中に、曲と演奏者への理解が入っていることが伝わってきます。

自分の仕事が、演奏しやすさや音になって返ってくる

魅力は、準備した楽器や機材が、そのまま本番の演奏を支えることです。全国学校軽音楽部協会が公開したESPエンタテインメント東京・永井先生へのインタビューでは、手がけた楽器で演奏が行われ、観客が楽しみ、演奏者から良い感想をもらえることが、やりがいとして挙げられています。

さらに、現場で気づいた問題から専門性が広がる例もあります。J-WAVEが2019年に取材したSHINOS代表の篠原勝さんは、ローディーとして遭遇した楽器の故障をきっかけに、修理やメンテナンスの技術を身につけ、やがてギターアンプの製作へ進んだと話しています。

全員がメーカーを起こすわけではありません。ただ、楽器に詳しくなることと、現場の困りごとを解けるようになることがつながっている。その先で、自分だから頼まれる仕事が生まれるのは、技術を積み重ねる魅力です。

大変なのは、演奏時間だけでは終わらないこと

一方、好きな音楽のそばにいられることと、観客としてライブを楽しむことは、時間の使い方が違います。先ほどの永井先生のインタビューでは、搬入、準備、リハーサル、本番、撤収まであるため、一日の稼働が長くなることや、ツアーでは移動と宿泊が続く場合があると説明されています。

機材を扱う体力に加えて、準備を抜かさず、本番中もすぐに動ける集中力が要ります。舞台袖で演奏を見ている時間も、持ち場を離れて自由に聴いている時間とは違います。

使う楽器はそろっているか。会場のどこで作業するのか。全体はどう進むのか。同インタビューで挙げられる確認は細かいのですが、一つ抜けると、自分だけで解決できないことも出てきます。周りの担当者と協力できることも、楽器の知識と同じくらい大切です。

良い音を支える面白さと、準備・移動・本番に合わせて動く負担は、同じ仕事の中にあります。遠征を楽しめるかだけでなく、留守にする日や、予定が公演に左右される働き方を、自分の暮らしに置いて考えたいところです。

仕事として探すと、会社の募集条件も見えてくる

ローディーは、会社に所属する働き方でも募集されています。2026年10月24日に確認したサウンドクルーのローディー/インストゥルメント・テクニシャン募集は、楽器のセッティングや音づくり、全国ツアーへの同行を仕事内容に挙げています。

同社の掲載条件では、雇用形態は契約社員・正社員で試用期間があり、普通自動車免許が必要、楽器の演奏ができる人を歓迎しています。勤務地は機材倉庫と全国の会場。給与は月給24万円から・年収300万円から、勤務時間は基本10〜19時、休日はシフト制の週休二日と案内されています。

これは一社の掲載例で、ローディーの平均年収ではありません。また、「基本10〜19時」という記載だけで、ツアー中も毎日その時間に収まるとは判断できません。公演日の勤務、移動時間や残業の扱い、休日の取り方、試用期間中の条件は、応募先で具体的に確かめる必要があります。募集は予告なく終了する場合もあります。

こうして仕事内容まで読むと、「音楽が好き」の中身をもう少し具体的に考えられます。演奏する時間、楽器を調整する時間、誰かが使いやすいよう準備する時間。そのうち、どこに面白さを感じるでしょうか。

次にフェスで出演者を待つとき、楽器がどこへ運ばれ、誰が確かめ、どのタイミングで演奏者へ渡るかを見てみる。舞台袖の短い動きにも、積み重ねられた技術が見えてきそうです。

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出典・情報の確認日

情報確認日:2026年10月24日。今回のニュースと、過去に公開された職務紹介・取材を区別しています。LIVE AZUMA 2026の学生の担当業務や、特定の出演者の当日の舞台裏を独自に取材した記事ではありません。