休みが週に3日ある。それだけ聞くと、働く時間が今より短くなる暮らしを思い浮かべるかもしれません。ところが「勤務する日を減らすこと」と「合計で働く時間を減らすこと」は、同じではありません。
東京都職員のフレックスタイム制を例に、その違いを見てみます。制度の名前だけで仕事を選ぶと、休みの増え方より先に、平日の長さに驚くことがあるからです。
都の公表資料では、4週間の合計は155時間
東京都の2025年度の人事行政資料は、フレックスタイム制を実施する職員について、4週間を一つの期間とし、合計155時間の正規の勤務時間を設定する、と説明しています。平日に週休日を設ける場合の始業・終業等の扱いも記されています。
また、2026年3月改訂の都職員の計画では、フレックスタイム制を活用した週休3日の導入などを、これまでの取組みとして示しています。この例で見るべきなのは、「週休3日」という見出しと、期間内の合計時間の両方です。
平日に休む日を増やしても、期間内の総時間まで減る制度とは限らない。出勤する日の長さや、期間内の配分を変えることで、平日の休みをつくる考え方です。全職員が同じ曜日に休める、本人だけで自由に勤務表を決められる、という意味でもありません。
同じ40時間でも、空く時間の形は違う
違いをつかむため、制度そのものとは切り離した仮の1週間で考えます。5日間に8時間ずつなら合計40時間。4日間に10時間ずつでも合計40時間です。一方、4日間に8時間ずつなら32時間になります。
| 説明用の配分 | 週の合計 | 増えるもの・減るもの |
|---|---|---|
| 8時間 × 5日 | 40時間 | 比較の基準 |
| 10時間 × 4日 | 40時間 | 出勤日は減るが、1日の勤務は長くなる |
| 8時間 × 4日 | 32時間 | 出勤日と総時間の両方が減る |
この仮例は、民間企業でこの時間をそのまま働けると示すものではありません。実際の労働時間制度や割増賃金の扱いは、就業規則等で別に確かめます。ただ、休日数だけでは区別できない働き方があることは分かります。
出勤日が減れば、その日の通勤はなくなります。一方、出勤する日の終業が遅くなるなら、毎日の迎え、通院、夕食、趣味との関係は変わります。「1日まるごと空くとうれしい」のか、「毎日の夕方を短くしたい」のかによって、同じ制度の評価が違ってくるのです。
給与、対象者、使える曜日は、名前から読み取れない
さらに、総時間を短くする制度では給与をどう扱うか、総時間を保つ制度ではどの日を長く働くか、といった条件があります。「週休3日なら給与が下がる」「総時間が同じならすべての待遇も同じ」と、言葉だけで決めることはできません。
求人で制度を見つけた場合は、対象職種・部署、利用の申請や調整、勤務日数と合計時間、給与や賞与への影響を分けて確認します。東京都職員の仕組みを、民間企業の週休3日の求人へそのまま当てはめないことも大切です。
応募先へは、たとえば「週休3日を選んだ場合、1日と月の勤務時間はどう変わりますか」「希望する曜日を決める際に、部署での調整はありますか」と聞けます。これは編集部が作った質問例で、都の正式な手続きや利用条件を示すものではありません。
平日に一日休めると、週末にはできない用事をまとめられる人もいるでしょう。毎日の負担を軽くしたい人なら、終業の早さや短時間の働き方の方が合うかもしれません。どちらが優れた選択ということではなく、必要な余白の形が異なります。
都の制度が示すのは、働く日と時間を別々に考えられるということです。「休みが3日ある」という入口から、実際の一週間へ。生活に置き直して初めて、その求人の働き方が自分に合うかを考えられます。


