求人の読み方

23時退勤、翌朝9時出勤。「勤務間インターバル」で見る働き方

仕事と次の仕事の間が10時間でも、全部が睡眠に使えるわけではありません。通勤と生活の時間、翌朝の始業の扱いから、勤務間インターバルを読み解きます。

夜と朝の電車の窓をつないだ架空のイラスト。「23時、退勤」「9時、出勤」「その間は?」の文字
架空のイメージです。実在の物件・人物・施設・アプリケーションとは関係ありません。

23時に仕事が終わり、翌朝は9時から。二つの時刻の間は10時間です。数字だけなら長く感じても、帰宅して、食べて、風呂に入って、翌朝また出掛けるとなると、眠れる時間とはずいぶん違います。

いま議論されている「勤務間インターバル」は、この仕事と次の仕事の間に目を向ける仕組みです。休日の数や月の残業時間だけでは見えない、一日ごとの暮らしの余白を考える手掛かりになります。

「残業が月に何時間」とは別の物差し

厚生労働省の制度の説明では、勤務間インターバルは、仕事を終えてから次に始めるまでに、一定以上の休息時間を設けるものです。2019年4月から導入が事業主の努力義務となっています。

10月14日の労働政策審議会でも、法的な位置付けを含め、導入をどう進めるかが議論の論点になりました。10月23日の確認時点では、この資料を「全国一律に11時間が義務化された」という発表として読むことはできません。

なぜ月の残業時間とは別に、この話があるのでしょう。例えば、同じ月20時間の残業でも、毎日少しずつ延びる職場と、ある日に深夜まで集中する職場では、翌朝の迎え方が変わります。これは働き方の違いを考えるための仮の例ですが、月の合計だけでは一晩の短さが見えないことが分かります。

10時間あいても、10時間眠れるわけではない

23時終業、翌9時始業で、通勤が片道1時間だとします。帰宅と翌朝の移動で計2時間。残るのは8時間で、ここに食事や入浴、着替えなども入ります。

23時終業→翌9時始業、片道1時間通勤とした説明用の例
時間帯 何をしている時間か
23時〜翌0時 帰りの移動:1時間
0時〜8時 自宅で過ごせる8時間。食事・入浴・身支度・睡眠などを含む。
8時〜9時 出勤の移動:1時間
編集部による仮の時間配分です。実際の勤務例や、推奨する睡眠時間を示したものではありません。

ここでの8時間を、そのまま「睡眠時間」と呼べないのがポイントです。家事や家族の世話があれば、時間の使い方はさらに変わります。厚労省の導入・運用の案内でも、生活、睡眠、通勤、勤務形態を考えて時間を設計するよう示されています。

通勤が短くなれば生活に使える時間は増えます。それでも、家が近いから遅くまで働ける、と単純に置き換えたい話ではありません。終業が遅れた日の、翌朝までの余裕そのものを見る物差しです。

「11時間あります」の先で、始業がどう動くか

仮に、会社が11時間のインターバルを決めているなら、23時に終業した人が11時間を確保できるのは翌10時です。いつもの始業が9時の場合、この重なる1時間をどう扱うかが、制度の使い心地を左右します。

厚労省の案内は、休息と重なる所定勤務時間を働いたものとみなす例や、始業時刻を繰り下げる例を載せています。どの会社でも同じ扱いになるのではなく、就業規則などで決める運用が必要です。

制度名があることだけでなく、遅くなった翌日に、実際に仕事の始まり方を変えられるか。そこまで見ると、「休息を確保する」という言葉が具体的になります。

実例もあります。厚労省が掲載したリコーの取り組みでは、2019年の試行を経て2022年に正式導入し、管理職を含む全社員に11時間を設定したと紹介されています。これは同社の運用例で、求人市場全体の標準や、全社員が毎日確保できたことを示す統計ではありません。

休日の数に、翌朝の見え方を足す

求人票の「年間休日」や「平均残業時間」は、働き方を知る大事な材料です。そこに、繁忙日の終業と翌日の始業を重ねると、自分がどんな一日を過ごすか、もう少し見えてきます。

面接で知りたいなら、「繁忙期に終業が遅くなった場合、翌日の始業をどう調整していますか」と具体的な場面で尋ねる方法があります。制度の有無だけを聞くより、仕事を分担する人や調整の手順の話につながるでしょう。

インターバルを長く取れば、どんな働き方でも問題がなくなるわけではありません。それでも、退勤時刻の後ろに、次の出勤時刻まで置いてみると、「休みが多い会社」とは別の、毎日を続けられそうかという景色が見えてきます。

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出典・情報の確認日

情報確認日:2026年10月23日。10月14日の検討資料と、制度の現行案内を区別して参照しています。本文の時刻・時間配分は説明用の仮の例です。